(1)A533B鋼を用いて混合モード負荷下での延性破壊試験を実施した。混合モード比が増大するにつれてき裂の進展方向が変化した。また試験片の厚さが大きい場合、試験片内部と表面ではき裂進展方向が異なることが明らかとなった。 (2)延性破面を走査型電子顕微鏡により詳細に観察した。ディンプルの径を測定し、混合モード比が大きくなるとディンプル径が小さくなることを見出した。またシャリップ領域には多数の小さなディンプルが観察された。これにより、シャリップ領域も含めて、延性破壊にはボイドの形成と成長が主要な役割を果たしていることが明らかとなった。 (3)そこでボイドの発生と成長・合体を考慮できるGursonの構成方程式を用いてこの問題の数値解析を試みた。従来から広く用いられている塑性ひずみ支配でのボイド発生モデルを用いたところ、試験片内部でのき裂進展方向が実験と全く異なるものとなることが分かった。これは本研究で始めて明らかとなった事実である。 (4)その原因を考察するために、ボイド発生モデルの全面的見直しを開始した。これは次年度以降の本研究の重要課題である。
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