研究概要 |
本年度は,所望の分子配向を任意に引き起こすための発泡体の成形条件と,母材への微小繊維の混入方法について検討した.所望の分子配向を任意に引き起こすための発泡体の成形条件の検討においては,発泡剤の含浸圧力を変えた場合の減圧時間と発泡温度の相関性と減圧時間と含浸温度の相関性を調査した.樹脂中への微小繊維の混入方法については,溶剤による方法や各種混練機器を用いた方法などをトライした.その結果以下の事を明らかにできた. 1.PS並びにPMMAを用いて,含浸圧力を変えた場合で,減圧速度を同じにし,種々の発泡温度の下で発泡成形を行った.その結果,いずれの樹脂の発泡体においても,気泡密度は含浸圧力の相違によって全体的に増減するが,減圧時間と発泡温度の間に時間-温度換算則が成立し,含浸圧力を変えてもそれぞれ同じ移動因子で近似できることがわかった.この知見は,ある一定の含浸圧力下で得られる気泡密度に関する減圧時間と発泡温度の等価性を用いて,含浸圧力が変動するような状況下においても,所望の分子配向を有する発泡体を成形したい場合の成形条件を推定できる一つ手法を提供するものである. 2.減圧時に発泡を伴わない場合,PS,PC発泡体の気泡径,気泡密度は減圧速度の影響を受けない.つまり,バッチ式発泡プロセスの含浸過程においては,分子配向へ及ぼす制御因子としての減圧速度(減圧時間)の影響を殆ど考慮する必要がない. 3.樹脂中に微小繊維を均一に分散させる方法としては,有機溶剤を用いた混練法が最適であることが分かった.
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