研究概要 |
本年度は,発泡プラスチックの強度向上を引き起こす因子として,微小繊維の効果とスキン層の効果について検討した,さらに,エフストマー素材の発泡体の強度向上に関する因子として,超微細な気泡の導入についても検討した。微小繊維として針状タイプ並びにアトラポットタイプを取り上げ,これら繊維の含有量と発泡体の強度,弾性率に与える効果を検討した。スキン層の効果としては,発泡体の表面に種々のスキン層を導入したサンプルを成形し,スキン層厚さと発泡体の強度,弾性率に与える効果を検討した.エラストマーについては,シリコーンゴムを取り上げ,物理的発泡剤を用いた発泡プロセスを構築すると共に,導入した微細気泡径と発泡シリコーンゴムの強度,弾性率に与える効果を検討した,その結果以下の事を明らかにできた. ・微小繊維を含有したPS発泡体の曲げ比強度は,PS単体の発泡体の曲げ比強度に比べ高くなる.針状型繊維含有5wt%の場合で約60%,そしてアトラ型繊維含有10wt%の場合で約35%の曲げ比強度の向上が見られる. ・微小繊維を含有したPS発泡体の曲げ比弾性率は,PS単体の発泡体の曲げ比弾性率に比べ繊維の含有量の増加に伴って高くなる繊維含有量が20wt%において,針状型繊維の場合で約130%そしてテトラ型繊維の場合で約140%の向上が見られる. ・所望の気泡径を有する発泡シリコーンゴムを得るための最適な可塑度範囲が存在し、これを基準とした成形プロセスにより発泡制御が可能であることが分かった. ・発泡前の可塑度を変化させることで数ミクロンの気泡径並びに人肌のような触感を表す硬度を有する発泡シリコーンゴムを得ることができた. ・スキン層が殆ど無い発泡体の比強度は、未発泡体の比強度の20〜30%程度の低下が見られるが、スキン層厚さの増加と共に強度の向上が見かれ,スキン層を付加することで未発泡と同等の比強度を得ることができる.そして,スキン層厚さは試料全体厚さの7〜8%程度で強度向上に寄る与する. ・スキン層が殆ど無い発泡体の比剛性は,未発泡体の比剛性の40〜50%程度の低下が見られるが,スキン層厚さの増加とともに剛性は向上し,スキン層厚さが試料全体厚さの7〜8%程度で70%〜80%程度の比剛性を保持することができる.
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