研究概要 |
サファイアやアルミナセラミックスなどの化学式がAl_2O_3で表される物質は工業的に非常に有用な材料である。これらの材料に対して加工を施すために各種の方法が開発されているが,三次元加工を施すことは困難である。本研究では,サファイアやアルミナセラミックスを工具として使用して,SiO_2を主成分とするガラスに対して切削加工を施す。このとき切削点近傍において,Al_2O_3とSiO_2の間で反応が生じてサファイアやアルミナセラミックスが摩耗する。本研究では,この工具摩耗を逆に利用して,サファイアやアルミナセラミックスに対して三次元形状の加工を施すことを目的としている。平成19年度は,化学式がAl_2O_3で表される物質を工具として使用して切削したときに,工具側に対してどの程度の加工を施すことができるかを検証することを目的とし,このための実験装置の試作を行った。主軸は高トルクで高回転数が得られるように,ACサーボモーターを使用した。加工機を試作した後,加工実験を行った。切削速度,切込み量などの加工条件により,どの程度の加工量が得られるかを検討した。加工対象として,最初は異方性の影響がない多結晶体であるアルミナセラミックスを選定し,SiO_2としてはガラスを選定した。アルミナセラミックスでガラスを切削する実験を行い,アルミナセラミックスに対して加工を施すことが可能であることを確認した。次に,サファイアを使用して同様な実験を行い,サファイアに対しても加工できることを示した。加工された面は,その輪郭が明瞭であり,面粗さはRa=0.01μm程度であった。加工された体積は加工時間に比例し,加工量を調整するうえでは都合が良い。
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