研究概要 |
サファイアやアルミナセラミックスなどの化学式がAl2O3で表される物質は工業的に非常に有用な材料である.これらの材料に対して加工を施すために各種の方法が開発されているが,三次元加工を施すことは困難である.本研究では,サファイアやアルミナセラミックスを工具として使用して,SiO2を主成分とするガラスに対して切削加工を施す.このとき切削点近傍において,Al2O3とSiO2の間で反応が生じてサファイアやアルミナセラミックスが摩耗する.本研究では,この工具摩耗を逆に利用して,サファイアやアルミナセラミックスに対して三次元形状の加工を施すことを目的としている.平成20年度は,本研究室において昨年度,製作した加工機を用いて,単結晶サファイアでガラスを切削する加工実験を行った.単結晶サファイアのa面,c面,r面のいずれをすくい面としたときにもサファイアに対して加工を施すことができた.3つの面の中では,最も硬度が高いa面をすくい面としたときの加工体積が最も大きかった.これは,本加工方法が加工する材料と加工される材料の硬度差を利用した加工法ではないことに理由があると考えられる.サファイアの相手材料として,ガラス以外の材料についても検討した.その中で,ステンレス鋼を切削したときには,加工量は大きいけれどもサファイアにチッピングや欠けが生じてしまった.そこで,ステンレスで粗加工を行い,ガラスによって仕上げ加工する方法を考案し,実際に多結晶サファイアに対して加工を施した.
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