研究概要 |
平成19年度は,以下のような実験を行い,アレー型超音波センサーを利用した樹脂内部の温度分布測定について検討を行った.(1)常温常圧時における樹脂内部のファイバー位置測定について.射出成形機を用いてファイバー入り成形品を作製するとファイバーは樹脂の流動方向へそろった形で厚さ方向に分布する.ファイバーの混入量は,射出成形機のホッパーへ樹脂ペレットとファイバーを入れるときの割合で調整する.実際にファイバーを厚さ方向に数から数十個入れた板状の資料を射出成形機で作製する.その板表面から超音波を直接投射し,ファイバー表面で反射してくる波形をアレー型超音波センサーで観測すると同時に,ファイバーの位置を特定する手法を開発する.(2)超音波による定常温度分布の測定について.射出成形樹脂の温度分布が定常状態にあるときの温度を超音波で測定する.これらの実験を行った結果,次のような結果が得られた.(1)ファイバーを入れた板状の成形品にアレー型超音波センサーを当てることにより,ファイバーを検出することが出来た.また,CRT上で画像が表示される位置から成形品中のファイバー位置を特定できることを確認した.(2)使用した樹脂の温度-音速-圧力の関係から,ファーバー問距離とその間を往復伝播する超音波の時間から,成形品藍の温度分布を測定できることが明らかとなった.以上のように,平成19年度の研究では,樹脂内部の温度分布を測定する方法についての基礎的な知見を得ることが出来た.
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