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2008 年度 実績報告書

切削加工によるステンレス鋼の表面改質におけるナノ構造解析

研究課題

研究課題/領域番号 19560120
研究機関熊本大学

研究代表者

坂本 重彦  熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (00315285)

キーワード切削加工 / ステンレス鋼 / オーステナイト / マルテンサイト / ナノ構造 / 表面改質 / 加工能率向上
研究概要

オーステナイト糸ステンレス鋼であるSUS304およびSUS316に対して,超精密旋盤にて切り込み量が微小となる超精密切削を行ったところ,同一の加工条件下にもかかわらず,SUS304の仕上げ面粗さが悪い結果となった.また,SUS304の仕上げ面における硬度はSUS316よりも高くなっていた.仕上げ面の組織を観察すると,SUS304の超精密切削仕上げ面に,マルテンサイト組織が観察された.X線解析試験で評価すると,SUS304の仕上げ面には,オーステナイト組織のみではなく,マルテンサイト組織を含有することが確認された.一方,SUS316の仕上げ面は,元来構成されるオーステナイト組織からなり,加工硬度が軽微であった.
次に,マシニングセンタを用いて,エンドミル工具によるステンレス鋼の切削実験を行なった.切削速度の高速化によって,仕上げ面におけるマルテンサイト組織を含む加工変質層が増加した.また,工具送り量は小さいときに,加工変質層の厚みが増している.以上のことから,高速な切削速度で,小さい切り込み量のとき,仕上げ面における加工変質層が増し,仕上げ面の硬度が上昇している.
ニアネットシェイプを要求される金型加工などにおける最終仕上げ切削工程では,切り込み量が小さく設定されるのが一般的である.ステンレス鋼SUS304の場合,低切り込みとなる加工条件は,仕上げ面における加工変質層の増加に大きく関与する.低切り込みがもたらすSUS304のマルテンサイト変態は,仕上げ面性状の悪化ばかりではなく,工具寿命を短くする.オーステナイト系ステンレス鋼において代表的なSUS304の切削加工では,1mm以下の低切込みや100m/min以上の高速切削によって,構成される組織がオーステナイトからマルテンサイト相に変態することが確認された.マルテンサイト変態を考慮した加工条件を設定することが,良好な仕上げ面を得ることにっながるといえる.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Work affected layer of the finished surface in precision cutting of austenitic stainless steel2008

    • 著者名/発表者名
      S. Sakamoto
    • 雑誌名

      Proceedings of the euspen International Conference 2008 10, Vol. II

      ページ: 253-257

    • 査読あり
  • [産業財産権] 穴あけ加工方法2009

    • 発明者名
      坂本重彦, 住友電気工業(株), 住友電工ハードメタル(株)
    • 権利者名
      坂本重彦, 住友電気工業(株), 住友電工ハードメタル(株)
    • 産業財産権番号
      特願2009-022535
    • 出願年月日
      2009-02-03

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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