研究概要 |
(1)3次元振動付加装置の試作マイクロ放電加工における従来の振動付加装置では,工具電極を振動させるために使用している圧電素子ドライブアンプの性能の制約により,振動数1kHz,振幅1.5μmまでしか実験を行っていなかった.振動数をより高くし,振動振幅を大きくすることにより,加工時間をさらに短縮できる可能性が大きい.このため,より大電流を流せる圧電素子ドライブアンプを用いることを前提に,高振動数大振幅領域での振動付加放電加工実験用の振動付加装置を試作した.加振振動数の上限を5kHz,加振振幅を2μm程度とすることを目標とした.振動方向と加工速度との関係を明らかにするため,振動方向を3方向とし,圧電素子3個と平行ばね機構とから装置を構成した.基本特性を明らかにするための実験を行い,ほぼ設計通りの性能を有することを明らかにした. (2)金属除去量と放電パルス数との関連についての実験放電電流パルス数をカウントしながら放電加工を行うことで,パルス数と加工量の間に良い相関関係があることを確認し,パルス数カウントにより加工の進捗状況を予測することが可能なことを明らかにした.放電パルス数と金属除去量の関係は,ほぼ線形関係にあるが,放電電流パルスの幅と高さは常に均一なものではなく,各放電毎に異なる.すなわち,放電加工に関連する放電エネルギーは均一なものではない.このため,パルスカウンターにより一定の閾値以上のパルスをカウントする方法では電気的なノイズをも1発の放電パルスとしてカウントしてしまい,金属除去量を放電パルス数により予測する際の誤差となるので,本年度においては,多数回の実験により得られたパルスの幅と高さを統計的に分析することにより,平均放電エネルギーを算出し,放電パルス1発あたりの平均加工エネルギーを求めることに成功した
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