研究概要 |
微細構造を有する機能表面の機械加工法を確立し,その機能性について検証した.まず,(1)集束イオンビームよる0.lmm×0.1mmの微小領域に微細構造を有するストラクチャ工具の製作,(2)ストラクチャ工具のインクリメンタルスタンピングによる金型の製作,(3)プラスチックの金型成形による機械加工工程によって,形状と配置が制御された微細構造を有する表面を高能率に製作できることを示した.また,アルミニウム合金を基板とするインクリメンタルスタンピングにおける金型製作では,押込み量が4μm以下になると材料の弾性回復などの影響により,ストラクチャ工具の微細構造が精度よく転写されないことを明らかにし,それ以上の押込み量で所定の形状を得ることを確認した. 次に,微細構造を有する表面を製作し,微細構造と撥水性の関係を明らかにした.微細なピラーで構成されるストラクチャを対象とし,ピラー形状とピラーの間隔をパラメータとして撥水性を調べた.微細構造に接触する気相部に対する固相部の割合が小さくなると,水滴の見かけの接触が大きくなり撥水性が増加することを確認した.平坦部で96°の接触角を有するプラスチック基板に微細構造を付与することで,接触角が150°以上の超撥水性を有する表面を製作できることを示した.また,ピラーの形状と配置における等方性と異方性の影響を示し,両者が等方的である場合が最も高い撥水性を有することを確認した.一方,所定の境界条件のもとで,液体の形状に対する数値解析を試みた.付着性に関する評価については,CFD解析により,サンプルが一定の流速で基板を流れる場合,ストラクチャ部の流速が平坦部のそれより高いことを明らかにし,サンプルの付着性が抑制できることを示した.
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