研究概要 |
本研究では,表面の微細構造による機能表面部品を,ストラクチャ工具の押込み加工によって微細パターンを有する金型を製作し,これを用いたプラスチック成形により製造する. 今年度は,一つ表面に複数の微細パターンを連続的に加工する工程を検討し,その妥当性を示した.この加工法は,間隔の広い突起を有するストラクチャ工具を製作し,押込み工程における工具の移動距離を制御することで,ピッチの違う微細パターンを有する金型を加工する.この金型でプラスチック成形し,所定の場所に異なる微細パターンを加工する.これによって表面機能の異なるマイクロ流路の製作が可能となる.この工程においては,金型加工におけるストラクチャ工具の転写性,プラスチック成形における金型の離型性が問題となる.これに対して,金型加工における重複押込みとプラスチックの離型用冶具の製作により高精度な加工が可能となった. 次に製作した微細構造を有する表面に対して,乳酸菌の付着性を調べた.撥水性の低い平坦な面には乳酸菌の付着が観察されるが,微細構造により高い撥水性を有する表面では,付着量を抑制できることを確認した.また,流速に対する付着量の変化を調べた.流速が大きいほど付着量が減る傾向にあり,乳酸菌の付着制御は撥水性とともに表面の微細構造における液体の流速が関係する。さらに数値流体解析により,平坦な表面の近傍における流速の低下に対して,微細構造における流速低下が少ないことを明らかにした.
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