研究概要 |
超高速スピンドル(16万回転以上)を搭載したプリント基板穴あけ機における加工対象はφ0.2mm以下の極小径ドリルを用いた電気接続用の穴あけである.そのような極小径穴が多数配置されたプリント基板回路では穴間距離も極めて短く,工作機械に求められる性能としては加工能率の向上のために送り軸の加速度の向上が不可欠であることがわかった.特に穴がランダムに配置されているような場合に,送り軸加速度の向上と時間問題TSP(加速減速時間も考慮して最短時間問題として定式化する手法)による穴あけ順の決定を組み合わせる手法が有効であることがわかった.一方,多数の穴が格子状に配置されている場合,時間問題TSPでは最適な穴あけ順が決定できない.そこで加工時の穴周辺の温度を一定化する基準を設けることで,最適な穴あけ順を決定する手法を考えた。その第一歩として,プリント基板の高速穴あけ時の加工において穴周辺の温度をモニター「する手法を考案した.すなわち高い応答性を有する赤外線サーモグラフィをスピンドル上部に設置し,鉛直方向から45〜60度でドリル加工時のプリント基板穴周辺の温度をモニターした,その結果,穴あけ順により穴周辺温度が大きく異なることが判明した.さらに樹脂の変質温度をしきい値として,加工穴の品質が極めて悪化することが判明した.すなわち,これらのしきい温度を基準として,その温度を超えないように穴あけ条件を設定することで,加工能率と穴品質の両立が可能な条件設定ができる可能性を示した.
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