研究課題
接触面を半鏡面状に研磨したナノクラスタダイヤモンド膜と汎用構造金属材料の間の低摩擦摺動現象の動作環境依存性を評価した。研磨した膜の表面には不規則的な3次元的形状を有し、光学顕微鏡によるミクロスケール組織観察及び表面粗さ計によるマクロスケールの評価によって膜表面のうねりや凸凹形状の定式化などの微視的形状の特徴評価を行い、摩擦磨耗現象に直接的に影響を与える形状パラメータを抽出した。これらの膜表面の微細構造、表面の算術平均粗さを組織パラメータとして、膜の形状と摩擦係数との相関関係について、分子気体潤滑の観点からDirectSimulationMonteCarlo(DSMC)法を用いた数値シミュレーションを実施し、相対速度毎秒2m程度の摺動速度で研磨ダイヤモンド膜に希薄気体(この場合は空気)の散乱に起因する浮力が生じることを明らかにした。また、試験雰囲気における湿度を制御した環境下でピンオンディスク摩擦磨耗試験を行い、摺動性能の環境依存性を定量化した。その結果、表面粗さが小さい(平滑:算術平均粗さ0.2μm)ダイヤ面では低湿環境で摩擦係数0.8程度の低摩擦を示し、比較的表面粗さが大きい(算術平均粗さ0.8μm)ダイヤモンド面では相対湿度40〜60%の環境下において摩擦係数0.6以下の良好な低摩擦現象を示した。通常、この湿度範囲ではメニスカスの発生により摩擦係数が上昇するものであるが、液体架橋が局所的に潤滑膜として作用することにより摩擦係数が下がることが示された。
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Diamond and Related Materilas
ページ: doi: 10.1016/j.diamond.2007.08.033
Highly Coupled Systems, Tohoku University Press
ページ: 21-56
http://www.ifs.tohoku.ac.jp/asel/