研究概要 |
本研究課題の本年度における成果は以下の通りである. (1)摩擦実験用駆動装置の試作と液晶を使用した摩擦実験 試作した回転型駆動・摩擦試験システムを用いて,潤滑剤に液晶を使用した摩擦実験を行った.液晶膜厚調整用治具の開発と回路基板用エッチング手法によるパターン電極の使用によって,回転駆動トルクに及ぼす電圧印加の影響を測定できた.干渉画像より電圧印加による屈折率変化が確認出来た (2)2値化しきい値を用いない真実接触面積の測定 粗面のPMMAレンズを使用した場合,輝度ヒストグラムにガウス分布を適用し,その分布によって抽出した領域は真実接触部に相当することを見いだした.これによって,従来の真実接触部測定における2値化しきい値に人的誤差や時間がかかるという問題点を解消できた. (3)サファイヤの使用による潤滑下における真実接触部の可視化 白色スペーサー干渉法を使用せずとも,石英ガラスに比べ屈折率の大きいサファイヤおよびLED照明装置の使用によって,潤滑下におけるペーパ摩擦材のコントラストのある干渉画像が取得でき,真実接触部の可視化が可能となった. (4)粗面ゴム試験片を用いた無潤滑下の滑り出しと往復動の摺動挙動の相似・相違性 真実接触点を追跡マーカとするPIV(粒子画像流速測定法)によって調べた.固着率と接線力係数の関係において,滑り出し時には静止時間に依存する初期凝着力の増加による固着率の増大が見られた.しかし往復動時においては,このような現象は見られず,Mindlinの解析解に近い挙動を示した.
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