研究概要 |
本研究は,出力リンクが姿勢変化を伴うことなく3次元空間内で並進運動を行う3自由度空間機構(並進機構)と,出力リンク上の特定の点の位置が変化することなく出力リンクがその点(回転中心)のまわりに任意の回転運動を行う3自由度空間機構(回転機構)とからなる6自由度空間ハイブリッドマニピュレータを対象として,高精度運動を実現するための誤差鈍感化設計の指針を具体的に示すことを目的としている.まず並進機構について,昨年度試作した機構とは異なる形式の機構を取り上げて,実用作業領域に基づく最適設計,試作および駆動実験を行い,変位に伴う出力姿勢角誤差を実測した.また,機構パラメータ誤差によって生じる出力姿勢角誤差の評価指標として,機構を構成する各連結連鎖によって加えられる拘束を表す行列に基づく評価指数を提案した.そして,実験により得られた出力姿勢角誤差の大きさが提案評価指数と強い相関があることを見出し,誤差鈍感化設計の指標として有用な指数を開発することができた.次に,回転機構について,設計作業領域(各軸まわりの姿勢角)と出力リンクの回転中心の位置およびその誤差を考慮した最適設計を行うとともに,試作機を製作した.そして,本試作機が非常に大きな姿勢角を全域で実現できることを実験により明らかにした.以上により,ハイブリッドマニピュレータを構成する並進機構および回転機構の作業領域および精度に着目した機構学的設計が可能となった.
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