研究概要 |
本年度は,主にゴム材料の摩耗粉生成機構と排出摩耗粒子の関係を明らかにした。 既設である円板状ゴム試料をガラス平面と転がり滑り摩擦させる装置を用いて,発生摩耗粉を集塵した。そのために,クラス1000のクリーンブース内に摩擦試験機を設置し,かつ,ゴム摩擦面より発生した摩耗粉を吸引、捕集する装置を構築した。一旦集められた摩耗粉はその後,純水でろ過し粒子径および数量を光学顕微鏡で測定した。なお,実験では天然ゴムにカーボンブラックを50部充てんしたゴム試料を使用し,荷重は14.8N,スリップ率を-100%から100%(相対滑り速度で0〜40mm/s)とした。 その結果,以下に示すような結果を得た。1.一般雰囲気中に含まれる粉塵の影響を受けることなく,摩擦により発生する摩耗粉のみを収集できるシステムを構築できた。2.スリップ率を-100%から100%と変えるに従いS字状に制動力係数/駆動力係数が変化するのを確認できた。3.スリップ率毎の摩耗粉粒子径分布を得ることができた。また,スリップ率に関わらず摩耗粉粒子は数μmの小さなものから十数μmの大きなものまでが排出されることが分かった。その中でも5μmから10μmの粒子が多く観察された。さらに,スリップ率が高いと,大きい粒子が排出される傾向が見られた。4.測定視野内の粒子径を数え,視野面積と,ろ紙面積の割合で換算することで,全排出粒子数を推定した。その結果,スリップ率0%でも摩耗粉が排出されること,ばらつきはあるものの,高スリップ率では摩耗粉数が多くなる傾向が見られることがわかった。
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