研究概要 |
本研究では,磁気ディスク装置の磁気ヘッドと磁気ディスクの間隔低減に必須となるヘッド損傷防止を,「コンタクトバニッシュ(CB)法」の効果の解析から明らかにすることを目的としている。CB法は潤滑剤塗布ディスク上でのみ効果があることから,本年度は以下の3つの方向での解析を行った。 (1)AFMによる潤滑剤付着状態直接観察:原理的に明快な結果を期待して研究着手以来2年間にわたって実現性を研究した。初年度には,触針処理直後の数回であれば或程度の画像を得ることが出来た。しかし,本年度の研究では安定で再現性のある観察は不可能であったた。そのため,この課題は本年度で中止した。 (2)接触角の解析:潤滑膜の表面エネルギーは磁気ディスク面より小さいため接触角が大きくなることは潤滑膜の被覆率が高くなることを意味する。今年度は,潤滑膜の形成条件により接触角がどのように変化するかを指標として研究を行った。これまでの潤滑膜形成後の熱処理,紫外線処理に加え,形成前の紫外線洗浄を導入し,潤滑剤により除去されない固着膜のみで必要な膜厚を得られること,軽荷重では固着潤滑膜のみのディスク上で摩耗試験特性が向上することなどを明らかにした。 (3)環境条件による摩耗特性変化の解析:摩耗試験における温度,湿度変化の影響を解析し,両者の上昇により摩耗が低減されることを明らかにした。しかし,摩擦状態は両者で異なっており,高湿時には潤滑剤の磁気ディスクへの固着力が増している可能性があることを見出した。
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