研究概要 |
本研究では,力学的な特性を利用して電磁気機能特性の高度化・多機能化可能な構造の創成設計技術を構築することを目的とする.すなわち,荷重を負荷することにより誘電体で構成される対象構造が力学的に変形し,その結果,構造の形態・形状が変化することにより,電磁気機能特性を変化させる構造を創成設計する方法論をトポロジー最適化の考え方に基づき開発する.本年度は,開発の第三年目として,以下の項目について検討・開発を行った. 1.非線形効果を考慮した構造力学問題に関するトポロジー最適化の方法論の構築 構造力学の問題については,大変形等の非線形効果を考慮した最適化法を開発した.電磁気機能特性を変化するほど,構造が大きく変形した場合,大変形によって有限要素メッシュが大きくゆがみ,最適化が実行不可能になる問題点がある.本年度は,このような問題を解決し,非線形効果を考慮できるように,メッシュフリー法の有効な方法である粒子法とトポロジー最適化法の統合化を行った. 2.構造力学の領域と電磁波の領域のトポロジー最適化の統合化 昨年度までに,電磁場問題について最適化を行う方法論を有限要素法に基づきを開発した.本年度は,昨年度から引き続き,構造領域と電磁波領域の二つの領域に関するトポロジー最適化の方法の統合化を図り,線形な場合の統合化の方法論はほぼ完成した.また,電磁波機能として,特定の周波数における電磁波の反射・通過,負の誘電率,透磁率の特性を示す機能の実現を目標としているが,これらを満足する目的関数の定式化についても検討を行った.しかし,上記で示した非線形効果を考慮可能な方法との統合化には至っていなので,今後は,早急に非線形効果を考慮可能な方法と,構造領域と電磁波領域の二つの領域に関するトポロジー最適化の方法の統合化を図る予定である.
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