本年度は電磁流体乱流のダイナモ効果の研究として以下の3項目について研究を実施した。 1.電磁流体チャネル乱流の中規模LES計算による乱流エネルギー輸送の考察 昨年度の計算より高いレイノルズ数の電磁流体チャネル乱流のLES計算を行い、平均磁場や乱流エネルギーなどの統計量を求めた。乱流ダイナモ効果によって平均場が長時間安定に維持されることを示した。特に、平均磁場の時間発展の過程において、二つの異なるエネルギー状態があることを見いだした。一つは平均磁場がまだ小さく、乱流運動エネルギーと乱流磁気エネルギーがほぼ等分配の状態であり、もう一つは平均磁場が強くなり、乱流運動エネルギーが乱流磁気エネルギーより卓越して大きい状態である。この二つの状態の機構を乱流エネルギーの輸送方程式を用いて考察し、ローレンツカによるエネルギー輸送項の重要性を示した。 2.電磁流体チャネル乱流の直接数値計算 低レイノルズ数の電磁流体チャネル乱流の直接数値計算を行い、短時間平均ではあるが乱流統計量を求めた。これまで行ったLES計算と近い平均磁場や乱流エネルギーの分布が得られ、また乱流エネルギーや乱流起電力の輸送方程式のつりあいも定性的に一致し、LES計算によるダイナモ効果の考察が妥当であることを示した。 3.クロスヘリシティー乱流モデルの考察 乱流の統計理論を用いてクロスヘリシティーによるダイナモ効果について考察した。特に分極ドリフトによるダイナモ効果の解釈とクロスヘリシティーの保存と供給に着目した。さらにクロスヘリシティーの輸送方程式の項のモデリングを行い、太陽風乱流に適用して電磁流体乱流の振る舞いについて調べた。
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