研究概要 |
人体にとって微小循環系を含む血流による体内の熱輸送は非常に重要であり,広い応用分野や関連分野が存在する.本研究では,この人体内部の流動および伝熱現象を詳細に把握するための新しい計算手法を提案し,巨視的循環系と微小循環系の両方を同時に取り扱い,血液の流れと体内組織の熱現象とを同時に考慮した解析手法の確立を目指す.さらには,汎用的なPC環境上で並列計算を行うことで現実的な時間内での解析を実施可能とすることを目標とする. 研究の初年度である本年度は,研究の中心となる計算モデルに関する理論的部分の構築とベースとなるプログラムの開発を進めた.まず,提案する微小循環系部分の3次元計算モデルに関して,流体力学および熱的な側面からの妥当性を検討した.具体的には,微小循環系の血液流れの特性や熱輸送に関する物性値などについて調査した上で,この微小循環系領域における物理的特性を,提案する有限体積法およびVOF法にもとづいた計算モデルで表現することの妥当性について検討を行ったうえで,まず2次元解析プログラムを開発して検証を行った.対象が生体であることから,計算に必要となるパラメータの決定などに関しては課題が残るものの,大筋では本アプローチの妥当性を確認することができた.次年度は本モデルの信頼性を高めたうえで,より現実的な計算モデルを取り扱うためにプログラムの3次元化および八分木構造格子の採用と並列化を行う予定である.
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