時系列完全3次元での温度場・速度場の同時計測法の研究は、現在の熱流体計測技術を発展させる上で重要な課題である。本研究では、前年度に引き続き、背景シュリーレン法と代数的再構成法を組み合わせた温度場計測法の計測アルゴリズムの検討と3次元速度場計測法を新たに考察することで、温度場・速度場の同時3次元計測法の開発と熱対流現象への応用を目的とした。本年度行った研究内容は、温度計測法の解析アルゴリズムの改良と解析プログラムの開発、新たな3次元速度計測法に関する研究、そして本計測手法の熱対流実験への適用である。得られた主な結果は、以下のとおりである。(1)代数的再構成のアルゴリズムを再考察し、格子分割法についての改良とプログラム化を行った。(2)3次元速度場の計測法として、3次元温度場に相関法を適用する新たな方法について検討し、擬似画像を用いて計測精度の評価を行った。その結果、相関領域を最適化することで、3次元速度場を計測することが可能であることが分かった。(3)6角形の浮カプルーム実験装置を製作し、背景シュリーレン法による3次元温度場計測を行った。また、3次元相関解析を適用することで、3次元速度場の解析を進めた。実験結果によると、プルームの3次元温度場は計測できたが、現在のところ、十分な精度での速度場結果は得られていない。これは、3次元温度場の計測精度が、直接、3次元速度場の計測精度に影響するためである。しかしながら、更なる温度計測精度の改良により3次元温度場・速度場の同時計測法へ拡張の可能性があることが分かった。以上のように、3次元温度・速度同時計測システムの構築ならびに熱対流実験への適用から、本計測手法の将来性についての示唆が得られたことが、今年度の成果である。
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