研究概要 |
この研究を進めるために必要な熱線渦度プローブを開発した。4組のx型熱線よりなるプローブの正面から見たセンサー部サイズは1.25mm角である。はじめに気温変化に対する温度補償を,ソフト的にできるように補償ソフトを開発してその有効性を確認した。この渦度プローブの特性を調べるため,チャンネル乱流において乱れ強さ,乱れ渦度強さ,それらのパワースペクトルを実測した。結果を精度の高いDNSと比較した。渦度プローブによる乱れ強さ,乱れ渦度強さは速度勾配が強い壁面近傍をのぞいてDNSの結果とよく一致していることが確認できた。また,スペクトル分布もコルモゴロフスケールにわたり正しく求められていることがわかった。壁面近傍では,渦のスケールが小さいため,プローブの空間分解能が不足しているためDNSとの不一致が現れた。本研究の研究対象であるクエット乱流の流路中央部では速度勾配がそれほど強くないので,ここで開発した渦度プローブで十分な精度の結果を得ることができることを確認した。クエット乱流での縦渦の維持機構として,チャンネル乱流にみられる渦度輸送方程式中の渦生成項により減衰過程がないことが重要であることが変動速度、変動渦度相関項の測定から明らかになった。また,多チャンネル熱線流速計の測定から,ウエーブレット解析を用いることによりクエット乱流中の低速、高速ストリークの大規模揺らぎ構造に特異な構造(主流方向に傾いたジグザグ構造)の存在が見出された。
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