数mmクラス、100gの木質バイオマスを用いて、熱分解中に生じる移動現象について実験的に検討を行い、以下の結論が得られた。 【低速熱分解】400℃/hrで装置壁面温度を上昇させ、バイオマス層内の温度変化をみることにより、ガス化の際の熱移動は、水分蒸発による熱移動、熱伝導のみならず、化学反応熱による熱移動が無視できないことがわかった。バイオマス層の温度変化(実測)と化学反応、水分蒸発の影響を無視したシミュレーションによる温度変化とを比較することにより、バイオマスのガス化反応について、反応熱による熱移動は、それぞれ2つの発熱反応域に分類できることがわかった。バイオマスのチップ径力が1.1mm<D_p、50(mean particle size)<11mmの範囲では、熱伝達、熱分解ともに大きな変化はみられなかった。バイオマスへの水分添加量によって化学反応機構、熱伝達機構は大きく変化した。水分添加量が少ない場合(+0wt%)は、反応は2段階の発熱反応となった。一方、水分添加量が多い場合(+60wt%)は、装置壁面温度が上昇しても、バイオマス層の温度は上昇しにくかった。さらに、化学反応は1段階となった。 【急速熱分解】予め所定の温度に設定した試験炉内に、バイオマスを充填したかごを投入して実験を行った。熱分解過程は設定温度によって大きく変化し、i)水分蒸発域、ii)セルロースの熱分解領域、iii)発生したタールの2次分解領域、のおよそ3つの領域に分類できることがわかった。また、バイオマス層の昇温速度を考慮した物質収支モデルによって、チャー、タール、発生ガスのいずれの成分も、2段階で反応が進行することが明らかとなった。
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