研究概要 |
数mmクラスの木質バイオマスを用いて,熱分解中における減容過程について可視化実験を行い,以下の結論が得られた. 【木質バイオマスの減容過程】熱分解中に発生するタール分を窒素ガスで搬送させることにより,これまで困難であった,T<800℃における木質バイオマスの熱分解中における減容過程の可視化装置を開発した.木質バイオマスの減容過程は,熱分解過程と密接な関係があり,i)T<310℃以下の脱水反応域,ii)310℃<T<360℃での,セルロースの熱分解域,iii)T>360℃でのリグニンの熱分解域の3つに分類できることが分かった.これらの減容過程は,いずれの温度域でも1次遅れを仮定したモデルによって再現できることが分かった. 【廃プラスチソクの減容過程】本研究で採用した1次遅れ系モデルの汎用性を確認するために,熱分解反応を伴わない,廃プラスチック層の減容過程についても検討した.その結果,230℃以下の加熱温度では,プラスチック層の質量変化は2%以下であり,熱分解の影響は小さいことが分かった.加熱後の廃プラスチック層の体積は減少していき,やがてある平衡値に漸近する事が分かった.この減容過程は,設定温度が高いほど,また昇温速度が大きいほど平衡値に速く漸近する事が分かった.減容過程のプラスチック成分濃度依存性について調べ,ポリエチレンテレフタレート(PET)以外の成分濃度が高くなるほど平衡値に速く漸近した.また,PETの質量濃度が100wt%のときは,ほとんど減容しなかった.プラスチック層の平衡体積は,昇温速度による変化は小さく,設定温度および成分濃度に依存することが分かった.本実験範囲内では,廃プラスチックの減容速度についても,平衡値を持つ1次遅れを仮定した解析によって再現できることが分かった.
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