マイクロチューブ内を流動する気液二相スラグ流の流動特性、特に圧力損失特性を明らかにするために、デジタルマイクロスコープを購入し、これを組み込む形で、マイクロチューブ実験流路系を新たに構築した。実験台の上に、堅固な板を置き、その上に実験装置を組み立てていった。気相にはコンプレッサーからの空気、液相には精製水(以下、水)を用いた。コンプレッサーからの圧縮空気を2系統に分け、それぞれに精密減圧弁を設けた。そしてその先の片側は管内径を徐々に細めながら気液混合部へ、もう片側は水を貯めた容器に圧力をかけた。圧力に押された水はやはり管内径を徐々に細めながら気液混合部へ向かい、空気と混合されて、マイクロチューブに入っていき、気液二相スラグ流を形成した。ところが、平成19年度の実験において、マイクロチューブ内気液二相流特有と思われる、流動不安定がしばしば見られた。これは、新たに作成した気液混合部に起因するのか、そもそもこのような流動条件につきものなのかははっきりしていないが、不安定状態では、定常気液二相スラグ流とは言えず、また画像取得時と流量測定時で流量が異なるなどの問題もある。したがって現在までのところ、新たな実験条件で、十分なデータは取得できていない。本研究の最終年度にあたる平成20年度に、解決しなくてはいけない課題である。そこで、平成19年度は、従来の気液混合部を再び用いて、管内径100μmにおける流動を測定し、これ以前に得ていた管内径75μmのデータと比較・検討を行った。その結果は、下記の学会発表でも示した通り、ボイド率特性はほぼ同等の傾向、摩擦圧力損失については、管内径が大きくなったことで大幅に減少する傾向を示した。ともに、L-M法のチズム式の係数を、これまでの研究より少し大きくした状態で、ベスト・フィットとなることを確認した。
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