研究概要 |
本研究では入力あるいは出力に流動を含む場合にターゲットを絞り,液晶材料を用いたこれまでに無い全く新しいデバイスの開発を目指す。具体的には,本科研費交付期間内に(1)流動→液晶分子配向場の変化→電磁場(2)熱エネルギー→液晶分子配向場の変化→流動の2つについて理論計算および実験の両面からアプローチを行い,液晶材料を用いた高精度力学センサーおよび熱エネルギーを用いた液晶アクチュエータを開発する。平成19年度は液晶材料の物性値。平板間距離,せん断速度および平板面での配向処理強度をパラメータとして,平行平板間せん断流れによる巨視的分極についての数値シミュレーションを系統的に行い,流動によって誘起される液晶の巨視的分極を最適に利用できるパラメータの組み合わせの探究を行った。シミュレ-ションにはLeslie-Ericksen連続体理論を用い,非定常解析を行った。シミュレ-ションを広範囲のパラメータにわたって行うために,高速ワークステーション(申請設備)を使用した。その後,シミュレーション結果を基にして,実験装置および液晶材料の仕様について調査した。スパッタリング装置(現有設備)および配向膜処理装置(現有設備)を用いて作成した2枚の電極および配向膜付ガラス板,レーザー光源およびフォトディテクタを配置する,液晶材料をガラス板間に注入し,上部ガラス板を移動させることにより液晶にせん断流れを与えた。せん断流れによって生じる分極を光学的および電気的に測定する。また,現存する液晶材料はディスプレイ用に開発されたものがほとんどである。そのため,シミュレーション結果より,本研究に最適な液晶材料を同定した。以上の研究結果より,流動により液晶分子配向場を変化させ,電磁場の発生へとつなげる方法を確立した。
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