研究概要 |
本研究では入力あるいは出力に流動を含む場合にターゲットを絞り,液晶材料を用いたこれまでに無い全く新しいデバイスの開発を目指す.具体的には,本科研費交付期間内に(1)流動→液晶分子配向場の変化→電磁場(2)熱エネルギー→液晶分子配向場の変化→流動の2つについて理論計算および実験の両面からアプローチを行い.液晶材料を用いた高精度力学センサーおよび熱エネルギーを用いた液晶アクチュエータを開発する.平成20年度は液晶材料の温度を変化させた場合の,等方相-ネマティック液晶相転移に伴って液晶材料中に出現する分子配向場の欠陥構造についての数値シミュレーションを行うとともに,シミュレーション結果の確認のための実験を行った.シミュレーションにはMarrucci-Grecoポテンシャルを適用した土井理論を用い,対となる配向欠陥を発生させた後の非定常解析を行った.シミュレーションを広範囲のパラメータにわたって行うために,高速ワークステーション(申請設備)を使用した.その後,シミュレーション結果の確認のために実験を行った.液晶材料である5CBにポリスチレン微粒子を混入したのち,等方相-ネマティック相転移温度以上に熱した後,液晶相が安定となる温度まで冷却し,発生した配向欠陥の挙動と液晶材料中に分散されたポリスチレン微粒子の運動を観察した.実験より,配向欠陥の挙動とともに微粒子が運動することが確認された.シミュレーション結果と実験結果を総合して,液晶分子の配向欠陥の挙動を利用して,例えばマイクロマニピュレータのような新しい液晶デバイスが開発可能であるとの知見を得た.
|