研究概要 |
マイクロバブル発生器の構造上の問題からバブル発生用空気の流量を自由に調整できなかったので,これを改善するための装置を新たに設計・製作することとし,装置が完成するまでマイクロバブル発生器代用品として焼結金属板(公称ろ過径20μmm)を利用しての実験を行った.用いた燃料は灯油である.発泡部下流に置く保炎板として発泡金属と発泡セラミックの2種を比較したところ,条件(当量比)によっては火炎が保炎板内部に進入することがあるため,金属製保炎板は,熱伝導率が大きく温度均一化の効果に優れているものの耐熱性の面から不適であることが分かった.これより発泡セラミック保炎板を用いることとし,空気流速(空筒速度)Vが1.8〜21.2cm/s,当量比φが0.5〜1.7の範囲で実験を行い,次のような結果を得た.(1)燃焼状態は,Vおよびφにより4つのタイプ(均一赤熱燃焼,拡散火炎を伴う均一赤熱燃焼,局所的に赤熱し同時に赤熱箇所が時間的に変動する燃焼,赤熱のない燃焼)に分類される.(2)燃焼状態として最適な均一赤熱燃焼領域は,Vの増加とともに希薄側に移り,測定範囲内ではφ=0.6程度まで安定に燃焼させることができる.(3)φ=0.9一定としたときの中心軸下流方向の温度分布は,Vの増大とともに増加する傾向にあり,また,V=10.6cm/s一定としたときの温度分布は,0.8〜1.1の範囲のφに対して,φの増大とともに増加する傾向にある.(4)上記(3)の条件に対するNOxの排出濃度は温度分布と良い対応を示し,温度が高温になるときにNOx濃度も増大する. マイクロバブル発生器の改善後は,これを燒結金属板に換えて上記(1)〜(4)に対応する実験を行い,本研究で意図したような性能が得られるかの確認を行う.
|