研究概要 |
マイクロバブル発生器の構造上の問題からバブル発生用空気の流量を自由に調整できなかった前年度の反省に立って, これを改善するための装置を新たに設計・製作したが, 非燃焼時においてもかなり高い当量比(φ>13.8)の混合気しか形成されなかったので, 2次空気を別途供給することで対応した. 用いた燃料は灯油である. 当初計画したメタノールは, マイクロバブル発生器の耐腐食性の問題から使用しなかった液相上部の気泡層下流に耐熱性のある発泡セラミック製の保炎板を置き, ここに安定した火炎からの熱を上流に環流し灯油の蒸発促進と生成混合気の均質化を図った. 2次空気流量Qaが200〜500cm^3/s, 当量比φが0.4〜1.0の範囲で実験を行い, 次のような結果を得た. (1)灯油中において200μm程度以下の気泡が得られた. (2)燃焼状態は, Qaおよびφにより4つのタイプ(均一赤熱燃焼, 拡散火炎を伴う均一赤熱燃焼, 局所的に赤熱し同時に赤熱箇所が時間的に変動する燃焼, 赤熱のない燃焼)に分類される. (3)燃焼状態として最適な均一赤熱燃焼領域は, Qaの増加とともに希薄側に移り, 測定範囲内ではφ=0.5程度まで安定に燃焼させることができる. (4)φ=1.0一定としたときの中心軸上下流方向の温度分布は, Qaの増大とともに増加する傾向にあり, また, Qa=200cm^3/s一定としたときの温度分布は, 0.7〜1.0の範囲のφに対して, φの増大とともに増加する傾向にある. (5)上記(4)の条件に対するNOxの排出濃度は温度分布と良い対応を示し, 温度が高温になるときにNOx濃度も増大する. なお, NOx濃度は60ppm程度以下であった.
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