研究概要 |
本研究では,寸法が570mm×770mm×2420mmの矩形燃焼炉に小型噴霧燃焼バーナを設置し,灯油を燃料として実験を行った。燃焼炉内は断熱ボードで内張されている。この燃焼炉には長さ約13mの亜鉛引きスパイラルダクト製煙道が付属する。燃料流量は1.41g/sで一定とし,空気比が1.2,1.5および2.0となるように燃焼空気量を設定した。炉内の燃焼状況を把握するために,それぞれの空気比において熱電対を用いて炉内温度分布を測定し,空気比が小さいほど高温領域が大きくなることを確認した。次に煙道の途中に設けられたサンプリングポートから煙道内ガスをサンプリングし,ガス中に含まれる微粒子の粒径分布と組成(SOF,Dry soot,Sulfate)の分析を行った。粒径分布の測定結果から,分布のピークを示す粒径は煙道上流から下流にかけてほとんど変化しないが,ピーク粒径の粒子数(粒子の数濃度)やトータルの粒子数は煙道下流から上流にかけて増加し,煙道内で二次微粒子が生成していることが明らかとなった。また,組成分析結果より煙道下流ほど粒子中のSOFやSulfateの割合が増加していたことから,煙道内で燃焼排ガスが冷却されていくにつれて排ガス中に含まれる未燃炭化水素が凝縮し,二次微粒子の生成につながっていると推察された。さらに,煙道途中に水冷式熱交換器を設置して煙道ガスを冷却し,そこで得られた凝縮水に含まれる金属成分についてICP-MSによる分析を行った。その結果凝縮水中の金属成分については,バナジウム,クロム,銅および亜鉛がいずれも数十〜数百ppbのオーダーで検出された。亜鉛は煙道が,クロムと銅はステンレス製熱交換器や真鍮製バルブが起源であると考えられる.またバナジウム濃度は空気比の増加に伴い減少したことから燃料起源ではないかと推測された。
|