研究課題
サファイア加熱面上に水滴を衝突させ、加熱面温度を変化させて、水平方向と加熱面の裏面から顕微鏡を介して高速度ビデオ撮影を行った。このとき、液滴の微細化沸騰挙動、特に固液界面において瞬時に過熱された液内での密度揺らぎによって発生する自発核生成気泡の挙動を捉えた。この挙動は加熱面温度が160℃の低温状態でも認められ、キャビティからの発生気泡及び衝突時に巻込んだ空気泡の挙動とは明確に区別することができた。この自発核生成気泡がもたらす微細化沸騰の機構に結びつく、次の結論を得た。1.加熱面が非加熱の状態でも巻込み空気泡が生成されるが、それによって自発核生成気泡が誘発あるいは促進されるなどの影響はまったく無かった。2.顕微鏡を介して撮影した結果、シュリーレン撮影法と同様の原理で、加熱面温度が160℃の状態から、過熱液内で生ずる密度ゆらぎが白い縞模様として鮮明に可視化できた。3.180℃の加熱面温度域では未だ自発核生成気泡同士の合体は認められないが、気泡は個々に成長し、最大直径に達した後は一旦、収縮し、瞬時に消滅した.またその気泡の発生位置は全くランダムであった。4.280℃以上の加熱面温度域では自発核生成による気泡の成長・合体消滅が局所的に、約20μsの非常に短い周期で発した。そのとき、合体気泡の消滅時には液滴内部に向けて過熱液部分から強い上向きジェット流が生じ、次の瞬間にはその流れの反力で下向きジェット流となって加熱面に向かって流れ込む挙動が捉えられた。以上のことから、加熱面では気液交換作用が駆動され、このときの激しい固液接触沸騰が液滴の微細飛散をもたらし、過熱液の乾燥がくい止められることが分かった。
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目本冷凍空調学会論文集 Vol. 25, No. 2
ページ: 79-86
ページ: 159-166