研究概要 |
熱機関のさらなる熱効率改善案として,空気過剰率を2倍以上とする極リーン燃焼が提案されている。極リーン燃焼により熱効率の改善だけでなく燃焼温度の低下に伴う,有害排出物の発生を抑えることができる。しかしながら,極リーン燃焼をさせると燃焼のサイクルごとの変動が大きくなり実用化が難しいという問題が生じてくる。このサイクル変動を予測する方法の開発が強く望まれているが,まだ具体的な方法は提案されていない。そこで本研究では,燃焼のサイクル変動を予測できる数学モデルを提案し,実験による検証を行うことを目的としている ベースコードとして,文部科学省次世代IT基盤構築のための研究開発「革新的シミュレーションソフトウェアの研究開発」において開発された高精度熱流体解析ソフトウェアであるFrontFlow/Redを採用した。本研究で導入した計算機においてもFrontFlow/Redが効率的かっ高速に動作することが実証され,次にエンジン解析に必要不可欠なALE移動格子法に基づくピストン動作を組み込み,さらにサイクル変動予測に最適なRANS型乱流モデルである2-scale k-εモデルを組み込んだ。これを用いてモータリング状態における理想的な初期条件(スワール比3,タンブル比0)におけるエンジン筒内の流れ解析を実施し,これらの結果をもとにサイクル変動予測を行い,実験値と比較することで検証を行った。 次年度はDDM(Discrete Droplet Model)に基づく噴霧液滴の解析を導入し,噴霧のサイクル変動や燃料の時間、空間的な変動を予測できるように拡張することで,燃焼のサイクル変動予測へのつなげる予定である。
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