研究概要 |
昨年度はベースコードとして,文部科学省次世代IT基盤構築のための研究開発・「革新的シミュレーションソフトウェアの研究開発」において開発された熱流体解析ソフトウェアであるFrontFlow/Redの高速化およびエンジン筒内解析に必要不可欠なALE移動格子法に基づくピストン動作を組み込み並びにサイクル変動予測に最適なRANS型乱流モデルである2-scale k-eモデルを組み込みとこれらの予備検証を実施した. 本年度は,これを用いてモータリング状態エンジン筒内の流れ解析を実施し,もとにサイクル変動予測を行ない,過去に提示された実験値と比較することで本研究で開発した解析コードの検証を行った.その結果,スワール比などの流動条件を変更した解析より,従来予測が難しいとされてきた旋回流についても実験値とよい一致を示し,またそのサイクル変動も精度良く予測できた.あわせて燃焼噴射を模した燃料気体の同時解析も行ない,ガス流動ならびに燃料の3次元的挙動およびそのサイクル変動や時間・空間的な変動を予測することに成功した.他にも乱流モデル,格子解像度など種々の変更を施した解析を実施し,実験結果と比較することでその予測精度や信頼性を提示することができた. またこの結果を得るために必要とする解析時間は,従前の解析とほぼ変わらず,一般工業用途における解析手法としても十分実用に耐えるものであることが確認できた.
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