研究概要 |
本研究は水平細管内の冷媒R-290(プロパン)の沸騰熱伝達にたいし、潤滑油の影響を調べた。蒸発細管は内径1,2,4mmのSUS管の3種類、蒸発温度は15℃、熱流束は12-24kW/m2、質量流束は150-300kg/m2s、潤滑油は鉱油でVG32を用いた。実験範囲内において、鉱油はR-290とは相溶性の油で濃度0-5wt%で実験した。 沸騰熱伝達率の油の影響については、次のような傾向を示すことが分かった。1)低クオリティ域の局所熱伝達率の変化:油の濃度が0〜2wt%では、油濃度の増加で局所熱伝伝達率の低下(最大15%の低下)がある。2wt%以上では濃度の増加で熱伝達率は増加する。2)高クオリティ域:油濃度の増加で局所熱伝達率は、単調な低下をする(油の濃度3〜5wt%の局所熱伝達率は、0wt%の場合に比較して最大で70%程の低下となる)。2領域の境界では、熱伝達率に対する油の影響は現れていない。これらの傾向は熱流束、質量流東が変わっても同じであった。管径が大きくなると2領域の境界は、高クオリティ域に位置するようになる。油の濃度2wt%以上では、冷媒流動の写真観察から液相内に小さな気泡が現れる。低クオリティ域の熱伝達率の増加は、この気泡の撹乱効果が関係していると考えられる。高クオリティ域での局所熱伝達率の低下について、油濃度は蒸発管入口に比較してかなり増大すること、冷媒・油混合液の粘性係数、表面張力の増大、液膜厚さの増大が考えられそれらが影響していると推測される。 蒸発管入口-出口間の圧力損失は油濃度c≒4wt%でc=0wt%の場合の17〜40%の増加がある。圧力損失は油濃度にほぼ比例することが分かった。
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