研究概要 |
無着色の同種樹脂(ポリオレフィン樹脂、フッ素系樹脂など)のレーザー溶着技術の開発は各産業分野で熱望されていが、上記の樹脂が、波長1ミクロン以下では光に対して透過性を示すため、現在のところ、色素添加が必要な半導体レーザー溶着法では対応出来ない。これに対し、「赤外線透過放熱体を利用する無損傷のレーザー溶着法」により、色素添加の必要のない中遠赤外線レーザーを使用し、上記の難接合材料の溶着性の向上を図った。ただし、従来適用してきたCO_2レーザー(波長10.6μm)では、大多数の樹脂は非常に強い吸収性を有しているため、肉厚の部材に対しては、赤外線透過放熱体の効果に限りがあった。そこで、波長が約5μmのCOレーザーを適用し、上記の課題を解決する検討を試みた。フッ素樹脂のPFA材の透過スペクトル計測では、5μmでの透過率は10.6μmの場合と比べて、著しく透過が増える。 溶着試験により、CO_2レーザーでは重ね合わせ溶着が不可能だった0.5mm厚のPFAフィルムが、部材界面の溶融一体化されること確認した。この部材の断面観察により、部材最表面から溶融深さを確認した結果0.75mmであったのでこの肉厚までの重ね合せ溶着は可能である。 さらに、異種材の組合せとして、PFAとPTFEとの溶着を行った。両者の融点がPFA:300℃, PTFE:332℃と差があるため、バランスよく溶融させることが重要であり、融点の高いPTFEを上面に重ね合わせる方法の方が、下部のPFAでの溶融深さが深くなることを確認した。 さらに、その他のエンプラ素材(PC, PET, POM, PBT)についてもCOレーザーの適用性を検討し、それぞれ溶着が可能であることを確認した。
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