研究概要 |
自然冷媒である二酸化炭素を用いた冷凍サイクルの性能を向上させるために,膨張機により絞り損失を回収する研究がなされているが,本研究では,潤滑油が不必要で摩擦損失が小さく,小型軽量なタービン形の膨張機について,その基本的な性能と特性を実験的に調査する.タービン形膨張機を用いて膨張動力を回収するための技術課題は,効率のよい遷移臨界膨張ノズルの開発と,膨張加速した流体の運動エネルギーを回収するタービンの開発に分けられるが,前年度試作した中細ノズルではノズル効率が0.64と低かったため,本年度は二次元矩形末広ノズルを用いて遷移臨界膨張ノズルにおける膨張過程の解明を行った. ノズルを通る流量はのど部における理論的な臨界流量と一致し,ノズルの先細区間ではエネルギー損失がほとんどないことがわかった.一方,末広区間において静圧分布を測定したところ,のど部以降で流れは減圧膨張しているが,下流圧力まで膨張した時点で流れははく離していることがわかった.末広区間に運動量式を適用して出口における流速を見積もると,超音速は得られていたものの,ノズル効率は約0.75であった.この解析より,ノズルの末広比を運転条件に合わせることにより,0.9以上のノズル効率が得られること,ノズル内の摩擦損失の見積もりにはまだ検討が必要であることがわかった.また,ノズルから出たジェットを衝突板にあててそのトルクより流速を測定したが,ジェットはノズルを出てからの流動損失によりすぐに運動量を失うため,衝動形のタービンより,半径流形,または軸流形のタービンが望ましいことが明らかとなった.次年度は遷移臨界膨張ノズルの最適化,および半径流形や軸流形のタービンによるエネルギー回収を行い,タービン形二酸化炭素膨張機の性能と運転特性を明らかにする.
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