研究概要 |
自然冷媒である二酸化炭素を用いた冷凍サイクルの性能を向上させるために,膨張機により絞り損失を回収する研究がなされているが,本研究では,潤滑油が不必要で摩擦損失が小さく,小型軽量なタービン形の膨張機について,その基本的な性能を実験的に調査する.衝動形タービン形膨張機では,膨張機前後の有効エンタルピー差を運動エネルギーに変換し,次にその運動エネルギーを軸動力として回収する必要があり,本年度は,昨年度試作した遷移臨界膨張ノズルの効率向上,小型タービンの試作,タービン形膨張機の性能把握を行った. 遷移臨界膨張ノズルに対しては,二次元矩形ノズルを用いて圧力分布を測定し,出口流速を運動量理論により求めることによりその膨張過程を検討した.その結果,ノズルを通る流量はのど部における理論的な臨界流量と一致し,ノズルの先細区間ではエネルギー損失がほとんどなく,また,拡がり区間では境界層の存在により設計圧力比より小さな圧力比で適正に減圧膨張することが明らかとなり,試作ノズルにおいて約90%の効率で超音速流を得ることができた.タービンの試作では,ノズルからタービン間での噴流の損失を減らすために軸流式のタービンを試作し,試作したノズルと組み合わせて衝動式軸流タービン形膨張機を組み立てた.このタービン形膨張機を発電機に接続してその性能を調査した結果,タービンの回転数が1670rpmにおいて最高効率は1.8%であり,この回転数における理論動力に対して約14%の効率が得られた.今後,低トルク高回転形の発電機を使用して高回転域で運転することにより,さらなる効率向上が期待される.
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