研究概要 |
平成20年度は,前年度に引き続き壁面濃度分布計測の検証データベースを作成するために,主に直交型T字合流管においてPIVおよび可視化により合流部における詳細な速度場・濃度場の計測を行った.とくに,合流部において主管流中に微細なジェットを噴出させ,それが合流後の流れ場・濃度場に及ぼす影響について明らかにした.具体的には,ジェットの付加により誘起される壁面近傍の変動速度場の詳細と,それにより混合界面に誘起される大規模な濃度変動に注目し,高速度カメラとレーザを用いた混合界面の時系列計測を実施した.得られた濃度場をPOD解析することにより,壁面近傍における濃度変動の大規模構造を明らかにすることが出来た.さらに,混合直前にデルタ翼を設置した場合についても同様の実験を行い,2流体の混合界面と壁面近傍における渦構造を明らかにした.時系列計測された濃度場のデータをPOD解析することで,デルタ翼からは周期的に渦が放出され,それが枝管流と干渉することで混合界面と壁面における濃度場の大規模構造を形成していることを明らかにした.次に,感圧塗料を壁面に塗布し,壁面近傍の濃度変動を可視化により捉えることを試みた.その結果,肉眼では濃度差による明るさの違いが確認出来るものの,その差は僅かであり高速度カメラを用いた定量的計測を行うためには不十分であること,また十分なコントラストを得るためには塗料の選択やその担持方法に改善の余地があることを見いだした.
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