研究概要 |
乱流火炎などの三次元非定常火炎は,自動車・航空機エンジンや工場の高温炉用バーナーをはじめ,多くの燃焼機器で利用されており,省エネルギーの観点から当該火炎に関する情報が望まれているが,三次元非定常現象の計測はこれまで困難であった.本研究では,この火炎について,火炎全体に渡る局所燃焼速度の瞬間三次元分布の時系列計測を,高度なIT技術を導入した全く新しい手法「ノンスキャニング三次元CT(コンピュータ断層再構成)法」により実現することを目指している.本年度は,下記の2項目の特筆される結果を得た.これらの新計測手法に関する成果は,これまで数値計算に遅れをとっていた,乱流火炎の詳細かつ全火炎的な火炎面構造の解明に関する実験的研究を,飛躍的に進展させることに直結するものである. (1) 40眼カメラによる火炎輝度の近接2時刻の多方向同時撮影と,トレーサー粒子軌跡のステレオ撮影との同時計測により,火炎移動挙動と予混合気流ベクトルとについて三次元情報を同時獲得することに成功した.両者を総合することにより乱流予混合火炎の局所燃焼速度を算出し,従来に無かった新しい計測手法を確立した. (2) 上記の計測手法は,1時刻の局所燃焼速度の瞬間三次元分布の獲得を目指した計測手法に関するものであるが,本年度は,さらにそれらの時系列計測に発展させる試みとして,新規に「158眼カメラ」の製作・調整を行った.この特殊カメラを用いて,4時刻の40(39)方向からの同時撮影に成功し,最新の時系列三次元計測(四次元計測)のためのデータ獲得手法の確立に成功した.
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