従来型太陽熱温水器や工場廃熱などの低温熱源を利用して、氷点下冷熱を製造できる吸収冷凍機を開発することを目的に、内部に封入する溶液の物性について、詳細に調査し、新型サイクルについて検討した。以下項目別に研究実績を述べる。 1. 作動液の飽和特性(野田) 新型吸収冷凍機の吸収器における飽和特性(気液平衡状態)に及ぼす水のモル分率の影響に関して、実験的検討を行った。その成果を学会発表するとともに、さらに低温のブライン製造の可能性について検討した。 2. 粘度、表面張力、溶解度、液体構造(野田・高橋) 吸収器の最低温度を決定する新媒体の溶解度(結晶化温度)に及ぼす水のモル分立とLiBr濃度の影響について実験的検討を行った。また、新冷媒の凝固点(結晶化温度)について、過冷却の影響を取り除いた精度良い実験手法を開発し、詳細な実験を行った。さらに、蒸発器で得られる蒸気のモル分率に及ぼす新媒体の組成および蒸発温度の影響について解明した。これらの成果を学会で発表した。 3. サイクル開発、実証実験(野田) 得られた研究成果を総合し、デューリング線図上で最適サイクルおよび最適新媒体組成について検討し、太陽熱温水器出品口温度として可能な80℃熱源で、氷点下5℃のブラインを製造可能である新型サイクルを開発し、国際会議で発表した。
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