研究概要 |
バイオディーゼル燃料(Bio-Diesel Fuel: BDF)は再生可能で環境汚染改善に寄与できることから,次世代の燃料として注目されている.これまでに,我々は超音波ソノケミストリBDF合成法を提案し,実験的検証を通じて,本合成法の妥当性を検証してきた.しかし,BDF合成にあたり,エネルギーの投入や後処理の課題が残っており,低コストでかつ高効率の合成方法が求められている. 本研究ではこれまでの研究成果をもとに,超音波法によるBDFの合成効率をさらに上げるために,まず,流通型超音波BDF合成のシステム構築を行ない, BDF合成を実施した.続いて, BDF合成後の後処理の手間を省くために固体塩基触媒によるBDF合成実験を試みた.また, BDFの表面張力の測定などを行い, BDFの物性値の調査を行った.さらに,機械式噴霧装置を使用してBDFと経由の噴霧実験を行い, BDFの噴霧特性を調査するとともに数値解析によるBDFの噴霧解析方法を検討した. 研究では,二つの9L/minのポンプを利用する流通型BDF合成装置を使用し,短時間に大量のBDFが合成可能であることを確認した.一方,固体塩基触媒に基づく超音波BDF合成法が検証されたことで,水洗いといった煩雑な後処理が必要としないので,合成工程の効率化につながると考えられる. また, BDFと軽油の噴霧実験では,同じ噴射条件のともで,軽油に比べて, BDFは噴霧角度が約3度小さかったことがわかった.これは,粘度と表面張力が異なったためと思われる. さらに, CFD2000を用いてBDFの噴霧解析を行ったところ,適切な粘度,表面張力および蒸気圧などの物性値を与えることが重要であることが確認された.
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