研究概要 |
本研究は,再生熱交換器を念頭として,エンジン排気口に直結可能な円筒形状の回転するダイナミック熱交換器を開発し,その基礎特性と機構を調べることを目的としている.本ダイナミック熱交換器は,高温流体コア部から高温流体を噴流として熱交換面に垂直に吹き当て(衝突噴流),さらに噴流位置をコア回転で変化させ,熱交換面の内面をくまなく洗濯し,低温流体との高い熱交換を果たすものである.本年度は,昨年度に製作した試作熱交換器1について時間依存データの修得の充実を図るとともに,アクリル製の試作器2を作成し,内部流動を煙で可視化し,熱交換特性のメカニズムを調べた.本年度得られた主な結果は以下の通りである. 1. コア回転を与えると,噴流衝突面の局所熱伝達率が時間的に変化することが確かめられた.それらの時々刻々変化する熱伝達率データから精度良く求められた時間平均局所熱伝達率の値は,コア回転により回転方向に均一化され,回転数と噴流孔数の条件により増減する. 2. 噴流は回転方向と逆方向に傾斜・噴出することを可視化実験により理解した.その傾斜角度は回転数の増加とともに増大するため,熱伝達率は低速回転時には有効に作用し均一で増大するものの,高速回転時には逆に低下する.したがって,最適回転数が現れる. 3. 噴流の周ピッチが小さい場合には,噴出後の流体と噴流の干渉が強くなり筒内に循環流のセル構造が生じる.このセルは熱伝達の低下を引き起こす. 4. コア回転による面平均熱伝達率は,回転しない場合に対して最大約13%増大する. 5. その増大の最適値は,噴流の孔数と回転速度からなる衝突頻度パラメータにより整理することができる.
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