研究概要 |
本研究の目的は微小流路内の3次元流動をPTV計測するために放射光X線を用いてステレオ撮影する方法の技術開発である.初年度の予定は,1.ステレオ撮影するために放射光X線を2分割して交差させる光学系の検討,2.X線像をステレオ撮影できるカメラの選定と撮影光学系の検討,3.ステレオ撮影した画像を試験的に解析して3次元位置計測の精度を検討であった. 放射光X線の実験はアメリカ国立アルゴンヌ研究所のAPS(Advanced Photon Source)で行った.3次元マイクロ流れとして円形断面のPFAマイクロチューブ(内径0.4mm)内にシリコン油を流して撮影対象とした. 1.放射光X線は蓄積リングの接線方向に放射され,X線を通常光のように反射させる光学要素は存在しないため複数の放射光を交差させることはできない.そのためシリコンの完全結晶から2枚の薄板を平行に切り出したX線干渉計を製作して,これを用いてX線ビームを2分割し交差させることができた.X線の強度は1/100程度に落ちることが分かった. 2.撮影には8bitの高感度の高速度カメラを用いたが,感度が不足気味で画像のコントラストが低かった.カメラの感度とビット数はもう少し高いものが望ましい. 3.ステレオ画像の解析方法を確認できた.3次元位置計測に十分な精度が得られた.トレーサは管壁に沿って流れたが,計測されたトレーサ(ハンダの微粒子)は円弧に沿って移動していることが確認できた.また,交差円管のそれぞれの内部のトレーサを区別して計測できた,これより、(1)トレーサの3次元位置の計測精度は良好,(2)トレーサを均一に分散させる工夫が必要,(3)高コントラストのトレーサが望ましい.
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