研究概要 |
1.はじめに、低騒音ボールスプラインの開発の基礎的な研究として,市販のボールスプラインを用いて,音の発生機構の解明を行った.その結果,ボールスプラインの音の発生原因は,負荷圏入口における鋼球とスプライン軸または外筒の衝突であることを明らかにした.そして,鋼球の衝突により,スプライン軸および外筒の半径方向曲げ固有振動が励起し,これが空気に伝わって音になることを示した. 2.次に,上記,音の発生機構に基づき,セラミック球の使用,低タング角度の採用によるボールの衝突力低減法を考案し,さらに,外筒およびスプライン軸の減衰性の向上を検討した. 3.上の2の検討結果をふまえ,低騒音ボールプラインを試作し,その音の低減効果を実験的に調べた. 4.低騒音ボールスプラインを用いた実験により,ボールスプラインの音の低減のためには,以下の方法が有効であることが明らかとなった. (1)ポリアセタール製保持器を黄銅,リン青銅,およびステンレス製保持器に変える. (2)保持器のタング形状を直線形状とし,タング角度をなるべく小さくする. (3)保持器バー付き保持器を用いる. (4)鋼球を窒化けい素球に変える. (5)スプライン軸として,ダンパ軸を用いる. 5.上記(1)〜(5)のすべての対策を施した低騒音ボールスプラインを試作し,市販のボールスプラインとの音の比較実験を行った.その結果,本研究で試作した低騒音ボールスプラインでは,市販のボールスプラインに比べて,最大13dB,音が低減されることが明らかとなった.
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