研究概要 |
アクティブ音響シールディング(Active Acoustic Shielding: AAS)とは,マイクロホンとスピーカが一体化したユニットを境界面に沿って格子状に並べ,入射してくる音波の波面に対して同振幅・逆位相の波面を生成し,入射音を消音する技術であり,風は通すが音は遮断する「アクティブ遮音通風窓」や,遮音性能を高めた「アクティブ遮音シート」などの開発に供せられる. 本研究では,対象周波数とユニット間隔,対応可能な音波面の入射角,透過側からの反射の影響などの原理的課題及び,コントローラやハウリングキャンセラーなどのシステム上の課題を,シミュレーションと実験により検討し,AASの成立性とその基本的な手法を明確にすることを目的とする. 本年度の研究では下記が明らかになり,AASに実現性の見通しが得られた. 1.無限空間を1断面で仕切る場合,AASユニット間隔Wと対象とする最大周波数の波長λの比を0.5以下にすると,入射角60度程度の音波に対しても消音可能であることがシミュレーションでわかった. 2.またAAS基本ユニットを試作し,ディジタルフィードフォワード制御でクロストークやハウリングを問題とせず制御できることを確認した.また,窓に4ユニットを設置して放射音の減音を確認した.
|