これまでに低速小型車両(LSV)における運転疲労低減技術としてシートサスペンションをアクティブ制御するシステムの提案を行ってきており、本申請課題ではこれまでに得られた知見を活用し、今後益々高まる高齢者運転時の安全性に関する支援技術の開発を行う。「運転状況の観察」を新たに導入し、制御効果だけでなく、制御の「身体挙動」への影響を検討する。さらに「物理情報」「心理情報」との統合分析によって最適なシステム設計の基礎資料を提示する。本年度の研究成果は以下に示すとおりである。 1.第三次心理情報の収集 昨年度と同様、大学現役教職員に協力を依頼し、およそ60歳から70歳台までの被験者を確保した。比較評価の必要性から20歳台の被験者も同数程度確保した。心理情報としては、心理アセスメントで一般的に使用されるPOMSとバウムテストから構成するテストバッテリを実施し、高齢被験者の心理側面を評価した。さらに、性格の情報も得るために、YGテストも実施した。 2.第三次評価走行試験の実施 昨年度の二次試験の評価をもとに、実験条件、評価方法、装置、制御理論の再検討を行い、第三次試験を実施した。 3.運転感覚メカニズムの解析 多角的な映像データ、加速度などの物理情報と心理情報の相関性を評価し、運転感覚を多変量解析等を用いて定量化しながら、運転感覚メカニズムの解明を行った。
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