研究概要 |
本研究では,空気浮上ベアリングを使用することで理論上は無限大までの固有周期を実現しうる免震システムの開発を目的としている.研究初年度の平成19年度は,「地震応答解析」,「免震要素特性の検討実験」,「供試体の設計・製作」を行った. まず「地震応答解析」では,提案する免震システムの有効性を検討するため,地震応答解析プログラムを作成し,解析を行った.その結果,残留変位が生じるものの,地震波の卓越周期によらず優れた免震性能を発揮することが確認された. 次に「免震要素特性の検討実験」では,エアベアリングの免震装置としての諸特性を検討した.様々な荷重条件下での浮上状態を観察した結果,上部荷重が軽すぎると自励振動してしまうものの,重心が図心と異なるなどの厳しい条件下でもエアベアリングは浮上し,免震装置として使用可能であることを確認した.また,浮上時の空気膜による摩擦係数は,6/10000以下であることを確認した.その他に,様々な地震波を水平-軸入力した結果,いずれの地震波においても優れた免震性能を示すことを確認した.特に,JMA Kobe NS波においては,過酷な荷重条件下でも,応答加速度を入力加速度の5[%]にまで低減することができた.また,実験結果は前述のプログラムで再現できたことから,プログラムの再現性の高さを確認することができた. 最後に「供試体の設計・製作」では,平成20年度に実施予定の水平上下入力振動実験に用いる供試体の設計・製作を行った.製作した供試体の質量は約400[kg]であり,次年度製作予定のおもりやコンプレッサなどを加えると,最終的には1000[kg]になる予定である。 上記の通り,本年度は研究初年度として,提案する免震システムの実現性を中心に検討を行った.その結果,本システムの実現可能性並びに優れた免震性能を確認した.
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