研究概要 |
本研究は,空気浮上ベアリングを使用することで理論上は無限大までの固有周期を実現しえる免震システムの開発を目的としている.平成20年度は,提案する免震システムの三次元挙動の把握を行った. はじめに,製作した供試体の動的特性を把握するため,摩擦係数,上下方向の固有振動数,減衰比の計測を行った.その結果,製作した供試体の摩擦係数は5/10000以下であり,優れた免震性能を有すると期待された. また,上下方向の固有振動数は約6Hzであり,地震動との共振が懸念されたが,減衰比は約10%であったことから共振時にも,応答が大きくならないと予見した. 次に,上記動的特性を用いたシミュレーション解析により,提案する免震システムの免震性能の検討を行った.シミュレーション解析の結果,提案する免震システムは上下動で若干の応答は見られるものの,水平方向には極めて優れた免震性能を有し,強大な地震動に対し,有効な対策となることが確認された. 上記のシミュレーション解析を受け,最後に三次元振動試験施設を用いた振動試験により,製作した供試体の免震性能を調査した.振動実験の結果,三次元挙動に対しても,提案した免震システムは応答加速度を入力加速度の約13%(JMA Kobe波の場合)にまで水平方向の応答加速度を低減でき,優れた免震性能を確認した.また,応答が懸念された上下方向の運動は,入力加速度に比べ免震システムの応答は約1割増幅されるものの,本システムを採用しない場合の約57%(JMA Kobe波の場合)に低減することができ,本システムの有効性を確認することができた,その他,緊急地震速報による本免震システムの起動回路を構築し,緊急地震速報受信から約1秒で免震装置を起動できることが確認できた.
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