研究概要 |
本研究では,ディジタルホイヘンスモデル(DHM)によるコンサートホールの実現について基礎的な検討を行った。DHMは非常に単純なアルゴリズムで音場の計算が行えるため,ハードウェア化が容易となる。本研究では,DHM回路をFPGA上に実装し,リアルタイムシミュレーションの可能性を検討した。 今年度はまず,前年度で基本設計を行ったDHM回路を2次元音場シミュレーションへの適用する場合のPC-FPGA間の通信について検討を行った。前年度はパラレル通信を試みたが,今年度はUSB通信を試みたところ,8bit伝送ではあるが2Mbpsの通信速度を達成できた。また,境界条件の組み入れについて数値シミュレーションにより検討を行ったところ,IIRフィルタを用いることで,主な材質の音響特性を組み入れ可能であることが示された。つぎに計算結果の可聴化を試みたところ,小さな空間の場合は計算誤差はほとんど感じられなかったが,大空間の場合は数値分散の誤差の影響が顕著に感じられた。この対策は今後の課題である。最後に3次元化について検討を行った。2次元の場合は,1つのDHM回路あたり約190のスライスで構成可能であったが,3次元では約400スライス必要であることがわかった。
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