研究概要 |
本年度の研究内容として,「各構成要素の不均一性と動的挙動の定量的把握」,「振動抑制制御手法の検討」および「振動抑制制御の実験評価」を行った。 「各構成要素の不均一性と動的挙動の定量的把握」では,まず2台の「モータ・制御装置」系において,無負荷の状態での動特性として周波数特性,騒音レベル,振動レベルを定量的に把握した結果,不均一性はほとんど見られなかった。この2台の「モータ・制御装置」を用いて構成したツインドライブ式歯車装置系において発生する干渉の問題については,歯車の偏芯取付けの影響と考えられる電流値のアンバランスが生じているが,偏芯量と電流アンバランスとの関係は定量的に把握できておらず,次年度の継続課題とする。組立誤差の影響については,誤差のモデル化の段階にあり,シミュレーションによる誤差の負荷で発生する残留振動および回転むらに及ぼす影響を定量的に把握するまでには,至らなかった。これについても次年度の継続課題とする。 「振動抑制制御手法の検討」においては,外乱抑制制御のシミュレーションにより,負荷慣性体にモータの定格トルクの10%が外乱としてステップ状に作用する場合について,24Hzの残留振動の整定時間を約1/2に低減できる効果を確認した。さらに,「速度制御ループに関する低次元制御モデル」を用いたモデルベースト制御系を位置制御ループに組込み,バックラッシ量をJISに基づく最小値0.085mmに設定して振動抑制実験を行った結果,残留振動の整定時間を約1/2に低減できる効果を確認した。次年度に歯車段の組立誤差とバックラッシ量の関係を把握し,本振動抑制制御手法の有効性を明らかにする。
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