研究概要 |
本年度の研究内容として,継続して「各構成要素の不均一性と動的挙動の定量的把握」,「振動抑制制御手法の検討」を行った。「各構成要素の不均一性と動的挙動の定量的把握」では,歯車の偏芯取付けの影響と電流値のアンバランスの関係の定量的把握を試みたが,十分な成果が得られなかった。引き続き,継続研究課題とする。2台の「モータ・制御装置」を用いて構成したツインドライブ式歯車装置系において発生する干渉の問題に関しては,組立誤差モデルの作成段階にあり,シミュレーションによる誤差の負荷で発生する残留振動および回転むらに及ぼす影響を定量的に把握するまでには至らなかった。 「振動抑制制御手法の検討」においては,ツインドライブ式歯車装置系に応用するため,昨年度に引き続きシングルドライブ式歯車装置系に適用するための振動抑制手法の開発を試みた。被駆動側歯車に取り付けた速度センサの信号を,被駆動側歯車を含む駆動側機械系の回転速度と被駆動側機械系の回転速度との関係を表す伝達関数に作用させ,被駆動側機械系の回転速度を推定し,振動抑制のための補償信号として用いる手法である。ステップ応答時に負荷慣性体で発生する約50Hzの残留振動の整定時間を約11ms短縮できている。モデル化誤差として伝達関数の固有振動数の誤差が±10%の範囲で存在する場合でも,残留振動の整定時間とピークレベルの低減に有効であることをシミュレーションにより確認した。位置制御ループ系への組込みにおいても,残留振動の抑制効果があることを確認した。この成果を2009 IEEE International Conference on Mechatronics and Automationで発表した。 「外乱抑制効果の評価実験」については,実験装置を構築したが十分な成果が得られなかった。「フルクローズドループ制御との性能比較実験」および「減速比を変更しての性能評価」と共に今後の継続研究課題とする。
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